【大阪】藤城清治101歳展 生きている喜びとともに【感想】

青空が綺麗な午後、梅田のグランフロントで開催されている、影絵作家・藤城清治さんの展示を見に行って来た。

驚く事に藤城氏は101歳の現在でも作品の製作を続けており、今回のチケットやポスターに使われている作品、「ミラクルアビーとミラクルボーイ」も、今回の展示の為に今年製作された作品らしい。

彼が製作する絵本みたいなファンタジーな作品を「いつか見たいな~」とは思いつつも、中々機会に恵まれず、今回ようやく行けるチャンスが巡って来たので、髪を切りに行った後で行く事にした。

会場はグランフロント大阪北館、ナレッジキャピタルイベントラボ
開催期間は2025年10月22日~2026年1月4日。
一般の当日券は2000円。
会場は地下だが、入口は一階にある。

土曜日だからか、会場内の人は多かった。
しかし一列で前に進まないといけないわけでもなく、飛ばして次の作品に行く事もできましたので、「見えない!」「進めない!」といったストレスは感じなかった。
年齢層は中高年の方が多い印象で、藤城氏の展示を何度も見ていた方もいたらしく、展示作品を見ながら、過去の展示の事を話しているご夫婦の方もいた。
私くらいの年齢の方は少なく、子連れの親子は数える程しかいなかった。

それなりにゆっくり回って、二時間足らずで展示は見終わった。
展示スペースを抜けた時は夢から覚めたような感覚で、その後にあるショップでは、気に入った作品のポストカードを四枚購入した。
(下段右下は今回の展示のチケットだ)

冬麗 竈猫(前項目ポストカードの上段真ん中の作品)
読み方が分からなくてタイトルを調べてみたら、「ふゆうらら かまどねこ」と読むらしい。

色んな柄や色の端切れを縫い合わせた、パッチワークの様な布の掘炬燵と、そこでくつろぐ猫達。
一部の猫は窓から外を眺めていて、日の光が積もった雪に照らす、寒そうでありながらも美しい銀世界が広がっている作品だ。

藤城氏の作品に出てくる木は、葉っぱが多く生い茂っていて作品の主役になっている印象があるが、対してこの作品の木は背景の一部として存在していて、葉っぱが無い冬の木の枝の表現の細かさが目を引く。
室内の本棚には昔の児童雑誌の赤い鳥が置かれていて、藤城さんの当時の生活を一部を垣間見る事ができた気がした。

旱星 盛夏(全項目ポストカードの上段右の作品)
作品の読み方は「ひでりぼし せいか」。
旱星とは炎天続きの夜にひでりを象徴する星、またはアンタレスや火星などの赤い星の事を指すらしい。

星空の中央にいるサソリの赤が目を引き、今回の展示では私が一番好きな作品だ。
ライトを光らせながら星空を進む機関車、燃えているようにも見える赤いサソリ、桟橋の上で泡を吐いているように見える3匹のカニ。
藤城さんは宮沢賢治の作品の影絵を多く製作されているので、この作品にもその要素が入っているのかもしれない。
宮沢賢治の作品を知っている方は「あっ、もしかして」と思う方もいるだろう。

藤城氏の作品はカミソリを使って作られており、驚く事に1日になんと100枚程のカミソリを消費するらしい。
写真を見るだけでは分からなかったが、実物を近くで見てみると、勢いのある直線で紙が切られており、木の葉等には下絵として書いたであろう鉛筆の線も残っている。

観覧車、自転車の車輪、小人の帽子など、どの作品にも多くの曲線があるが、カミソリによって作られた切り絵は、近くで見ると大きな曲線は短い直線を繋ぎ合わせて切られているものが多く、逆に遠目だと直線に見える箇所は緩い曲線になっている。
人の手で作っている正確ではない曲線と直線が、機械では絶対生み出せない独特の作風に仕上げているのだろう。

実は、私が今回の展示で一番印象に残ったのは作品ではない。

私が一番印象に残ったのは、藤城清治さんの右手の写真だ。

写真は入口のエレベーターを下りてすぐの大阪人パノラマを通り過ぎ、撮影不可のエリア入ってすぐにある、藤城氏本人の写真の近くに展示されていた。

特に目を引いたのが、その
どの指の根元もとても太くて、かなり筋肉がついていた。
そして紙を切る時に剃刀に指先を添えるからなのか、指先の皮膚も大分固くなっている印象を受けた。
自分の思いを作品に込める為に分厚く、固くなっていったその手に、彼の101年の重みが詰まっているような気がした。

その写真の前で自分の手を触ってみたり、見比べてみたが、多少皮膚が固くなっている指はあっても、自分の指はどれもまだまだ柔らかい。

自分が積み上げてきたものは、彼と比べてまだ全然足りないのだと痛感した。

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